シニア人生・これからコンサルティングセカンドキャリア支援コラムアフガニスタンからのアメリカ軍完全撤収について(その2:混迷の原因はどこにあったのか?)

アフガニスタンからのアメリカ軍完全撤収について(その2:混迷の原因はどこにあったのか?)

前回は、約40年前(1979年)にはソ連によるアフガニスタン侵攻があったことと、それに立ち向かったアフガニスタンのイスラム原理主義側を支援したのがアメリカだったことなどを、お話ししました。

そんな蜜月の時期もあったにも関わらず、その後アメリカはイスラム集団に憎しみを抱かれ、2001年にはアメリカは無差別テロ攻撃を受けるような事態になります。その後は仕返しのような形で、20年間アフガニスタンを懲らしめながら、イスラム原理主義を抑えつけ民主主義を定着させたいとの意図で、アメリカがアフガニスタンを支配してきたのですが、結局はアメリカの構想とはほど遠い形で、アメリカが退いて終わったということだと思います。

 

こんなに事態がややこしくなる要因って何なのでしょう。簡単に語れることはできないと重々承知ですが、少しはすっきりさせたいと思い、無理やりに単純化させてもらいます。

一番大きな要因は、オサマ・ビンラディンという人間の存在のようです。彼を通して、人々の恨みを増幅させ、矛先をアメリカに向けていくことで9.11テロが起こり、その後も解消されないわだかまりになったことがあったのだろうと思います。

実は、40年前のソ連によるアフガニスタン侵攻があった際に、アメリカ軍と手を組んだ人間にオサマ・ビンラディンがいました。ビンラディンはアフガニスタン人ではなく、サウジアラビア人です。サウジアラビア有数の富豪の一族に1957年3月生まれました。ソ連のアフガン侵攻が始まったころ、ビンランディンのアフガンへの支援活動は、イスラム原理主義のための募金中心だったそうです。アフガニスタンで実際の行動を伴う活動を始めたのは、1980年代後半からのようです。アルカイーダを立ち上げたのが1988年です。

徐々にチカラをつけたビンラディンは自国(サウジアラビア)で国防相とも会談するほどの立場になります。しかし、彼は非イスラム教徒(アメリカ人)がアラビア半島に軍隊の一員として常駐することは預言者ムハンマドによって禁止されていると解釈して、アメリカ軍にサウジアラビア駐留を許したサウジアラビア王家と対立します。ビンラディンは徹底して、サウジアラビアを嫌うようになります。1991年サウジアラビア王家は批判を繰り返すビンラディンを国外追放に処するに至ります。ビンラディン一族も、彼との関係を断絶します。これがビンラディンとサウジアラビアとの関係です。居場所を無くした、ビンラディンが活動場所として見つけたのがアフガニスタンだったようです。決して、アフガニスタン国家が彼を招き入れてテロ活動を進めたのではなく、単に生きる場を求めていたビンラディンお客として入ることを拒まなかったということが実際の所のようです。

 

9.11の航空機テロとアフガニスタンとの関連性を見るのに、実際の犯行者の国籍が有力な材料になるもしれません。講談社現代新書 “9.11後の現代史 (著者:酒井啓子)” によると、「こんな事件を起こしたのは一体だれか? FBI(連邦捜査局)ではすぐさま犯人が特定された。・・・実行犯は全員で19人、うち15名がサウジアラビア、2人がアラブ首長国連邦、1人がレバノン、1人エジプト人だった。(71ページ)」とのことです。一人もアフガニスタン人はいませんでした。それにも拘わらず、その後20年間、アフガニスタンがテロの元凶だったとの認識のもと、アメリカの支配が続きました。結局、ビンラディンがアフガニスタンに身を隠していたということだけを理由に、9.11のテロ以来ずっと、アメリカがアフガニスタンに軍隊を駐留し続けていたのです。

ビンラディンに関しては、2011年5月にパキスタンにおいてアメリカ軍特殊部隊による軍事作戦により殺害されたにも拘わらず、その後もずっと米軍のアフガン駐留が続きました。

 

今回の米軍の撤収にあたって、次の内容のコメントを米国高官が発表しました。『アメリカがアフガニスタンにいた一番の目的は(2001年)9月11日に我々を攻撃した連中に対抗するためだった。アフガニスタンの任務は成功だった。』(ブリンケン国務長官による記者会見内容)という内容です。だとしたら、とっくのとうの10年前に、アメリカ航空テロの首謀者・ビンラディンを殺害した時に、目的は達成されていたでしょうに・・、ということになります。結局、目的があいまいのままの、アフガニスタンにおける米軍駐留だったということになってしまいます。

 

テロとの戦いは憎しみの連鎖を生み、その本来の憎むべき対象さえ分からなくなり、ただ攻撃するだけが目的になるという恐ろしさを改めて認識しました。アメリカの撤退に正当性を欠くというような指摘もありますが、私は、遅まきながらもアメリカの撤退によりアフガニスタンの自立を目指してもらうほかないと考えます。

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